【特別区】人気区ランキングを公開!採用漏れを避けるための希望区の選び方とは?

特別区ガイド

「特別区の人気区・不人気区はどこ?」
「私の希望区は人気ありそうだけど、大丈夫かな…」
「僕の希望区は逆に不人気みたいで、それも不安…」

このような疑問や悩みを持つ受験生は多いのではないでしょうか?

特別区採用試験では申込時に希望区(働きたい区)を3つまで選択することができます。
受験生にとって、希望区をどこにするかは非常に重要な問題ですよね。

その際、いわゆる「人気区」や「不人気区」を知っておきたいという方のために、今回はどこよりも詳しくマトリクスで徹底分析しました!
「採用漏れ」を避けて確実に入庁するためにも、人気区や不人気区の情報は気になるところです。

この記事で分かることは下記のとおりです。

  • 特別区の「人気区・不人気区」予測
  • マトリクスを活用した「希望区」の選び方
  • 入庁確率を極限まで高めるたった1つの戦略

ぜひ希望区選びの参考にしてみてください!

【前提】どこが人気区かは分からない

まず前提として特別区は区ごとの志望者数などのデータを一切公開していないため、実際のところの人気区や不人気区は誰にも分からないということを知っておいてください。

しかし「予想でもいいので知りたい!」というのも受験生のホンネだと思うので、この記事を作成するに至りました。

注意点として、この記事も含めてネット上の「人気区」「不人気区」の予想はすべて予測に過ぎないということを頭に入れ、参考情報として冷静に見ていくようにしましょう。

さて、人気区や不人気区を知る前に、まず特別区採用試験の流れを見ておきたいと思います。
特別区Ⅰ類の採用試験案内に記載されている図は下記のとおりです。

2次試験である人事委員会面接に合格すると、「最終合格」という状態になります。

しかしここで注意したいのが、最終合格をしても必ずしもどこかの区に入庁できるわけではないということです。
なぜなら、区面接(上の図の真ん中の「面接」)で落とされることがあるからです。

もしも区面接で不合格になった場合、他の区の区面接に再度呼ばれるのを待つことになりますが、区側の予定人員が確保できればその時点で採用が打ち切られてしまいます。

そのため、最終的に採用されない人(いわゆる「採用漏れ」)も出てくるのです。

採用漏れにならないためにも、どの区が選ばれやすい・選ばれにくいのかを知っておくことはとても重要であるということですね。

でも気になる!特別区の人気区・不人気区を予測する

この記事では、客観的かつ大規模な統計データから人気区・不人気区を割り出しました。

主観的な口コミや噂、サンプル数の少ない統計は避けて信頼性の高い情報のみを使用し、あなたを惑わす情報ではなく確度の高い情報をお届けします。

まず、人気が集まりやすい区の条件から紹介しましょう。

人気が集まりやすい区の条件ベスト5

結論から言うと、特別区受験生の人気が集まりやすい区の条件は次の5つです。

  • キラキラ度が高い
  • 本庁舎が新しい
  • 通っている・通っていた
  • 住んでいる・住んでいた
  • 通勤しやすい

①②はつまり、多くの受験生にとって憧れがある区、そして③④は受験生に縁がある区だと言えるでしょう。
最後の⑤は、受験生にとって勤務条件の良い区と言えます。

多くの受験生は、無意識のうちにこの3要素(憧れ/縁/勤務条件)のどれか、もしくは複数を考慮に入れて志望区を考えています。

もちろん区ごとの施策を調べるなどして、自分が一番興味を持てる区を見つけるというのが王道でしょう。

しかし現実的には、全体傾向として区の人気に偏りが出ることがあり、そこには上記の3要素5条件が作用していると考えられるのです。

では次に、これら各条件に合致する区について信頼できる統計値を基に見ていきましょう。

【人気条件①】キラキラ度が高い(地価に比例)

民間就活でも、「丸の内で働きたい!」「憧れの街で働きたい!」という人は多いものです。

「キラキラ度」というと曖昧な言葉のようですが、要は憧れや人気が集まりやすい土地のことです。
そして、憧れや人気の集まりやすい土地ほど地価は高くなる傾向にあります。

ここでは、令和6年地価公示(国土交通省)における各区の地価平均額で比較しました。

キラキラ度の高い(地価の高い)区トップ5は下記のとおりです。

第1位千代田区
第2位港区
第3位中央区
第4位渋谷区
第5位文京区

なお、6~10位は目黒区、台東区、品川区、新宿区、豊島区でした。

都心3区(千代田、港、中央)や、文化・IT系企業の多い渋谷区、東大など学術都市のイメージが確立している文京区が上位を占めていますね。

実際これらは、あなたの思うキラキラ区とほぼ一致するのではないでしょうか。

【人気条件②】本庁舎が新しい(職場環境イメージに直結)

キラキラ度のような街や地域への憧れだけでなく、職場環境への憧れも受験生の志望動機になります。
そして本庁舎の新しさは、まさに職場環境への憧れを受験生に与えやすい指標になります。

実際、新庁舎になるタイミングでIT環境を整備したり、ペーパーレス化を進めたりする区が多くあります。
例えば渋谷区では、原則フリーアドレス制(部署内で好きな席に座れる)なども整備され、まるでIT企業のようです。

こうした「新しい働き方」に惹かれる受験生の人気も集中する可能性は高いですよね。

現時点で、本庁舎が新しい区トップ5は下記のとおりです。

第1位世田谷区・中野区(2024年)
第2位渋谷区(2019年)
第3位豊島区(2015年)
第4位板橋区(2015年,南館のみ)
第5位千代田区(2007年)

なお、6~10位は、足立区、練馬区、文京区、大田区、杉並区でした。

中野区の新庁舎はニュースでも度々取り上げられており、渋谷区や豊島区は23区の中でも行政DXを1,2歩リードする存在です。

今後も世田谷区など多くの区で本庁舎の建替が予定されているので、情報をチェックしておくと良いでしょう。

【人気条件③】通っている・通っていた(大学の数)

次に、受験生にとって縁がある区を調査します。

区内に多くの学校があれば、それだけ多くの学生に縁があったことになります。
大学で上京してくる人も多いため、ここでは大学の数(補助的に高校の数)で比較しました。

ずばり、大学が多い区トップ5は下記のとおりです。

第1位千代田区(30校)
第2位新宿区(20校)
第3位文京区(18校)
第4位世田谷区(15校)
第5位港区(14校)
参考:東京都|大学の数が多い街ランキング(スタディサプリ進路)

なお、6~10位は、渋谷区、豊島区、中野区、足立区、江東区、品川区でした。

【人気条件④】住んでいる・住んでいた(区の人口)

人口が多い区ほど、現在または過去にそこに住んでいた縁のある受験生も多いと考えられます。

各区の公式ホームページによれば、人口の多い区トップ5は下記のとおりです(2024年5月時点)。

第1位世田谷区(92万人)
第2位練馬区(74万人)
第3位大田区(73万人)
第4位足立区(69万人)
第5位江戸川区(69万人)

 なお、6~10位は、杉並区、板橋区、江東区、葛飾区、品川区でした。

【人気条件⑤】通勤しやすい(ターミナル駅をもつ区)

最後に、非常に現実的な問題として通勤のしやすさが挙げられます。

一般企業への就職活動の場合は、勤務条件として勤務地だけではなく給与なども重視される傾向にありますが、特別区の場合は区によって給与等の待遇面や従事する業務に大きな差はありません。

一方で通勤のしやすさは各区でまったく異なり、だからこそ人気に影響すると考えられます。
とはいえ受験生一人ひとりで住所は違うので、アクセスの良い区も人それぞれです。

そこで今回は、特別区受験生にとって”最大公約数的に”アクセスの良い区を割り出すため「ターミナル駅の有無」に着目しました。

区に勤務するなら電車通勤する人がほとんどでしょう。
だとすればターミナル駅がある区は、それだけ多くの受験生にとって”最大公約数的に”アクセスが良いと言えます。

区内に大きなターミナル駅(1日の乗降者数が多い駅)を持つ区トップ5は下記のとおりです。

第1位新宿区(新宿駅、高田馬場駅)
第2位渋谷区(渋谷駅)
第3位豊島区(池袋駅)
第4位足立区(北千住駅)
第5位千代田区(東京駅、秋葉原駅)
参考:1日の利用者数が多い駅のランキング(スタディサプリ進路)

なお、6~10位は、港区、品川区、墨田区、目黒区、台東区でした。

【5要素を集計】人気区ランキング!

ここまで見てきた5要素を合わせ、人気区・不人気区を予測します。

算出方法は、各要素でトップ5だった区にそれぞれ2ポイント、6~10位だった区に1ポイント加点しました。
※例外として、⑤について上位ターミナル駅を複数もつ新宿区と千代田区については3ポイント加点。

この方法で導き出された23区の人気区ランキングは下記のとおりです!

まとめると、

  • 人気6区:千代田区、渋谷区、世田谷区、豊島区、足立区、新宿区
  • 不人気4区:北区、荒川区、墨田区、葛飾区

という結果になりました。

これを見ると、千代田区の人気の高さは圧倒的ですね。
キラキライメージはもちろん、大学に通っていた縁のある人や通勤しやすい人が多いと推定されます。

一方で、足立区が意外に思えるかもしれません。
都心から離れてはいますが、区民数や学校数が多く縁のある人が多いようです。

北区や荒川区などは他区と比べ、受験生にとっての憧れや縁、現実的なアクセス面の利点が弱い可能性が高いと言えます。

Ⅰ類採用と経験者採用で違いはあるか?

今回この記事を読む読者の中には、Ⅰ類採用受験者も経験者採用受験者もいることでしょう。
そこで気になるのが、Ⅰ類・経験者で人気区の傾向に違いが出るのか?ということ。

公式データがない以上推測の域を出ませんが、両者には大きな違いがあります。
それは「転居のしやすさ」です。

Ⅰ類受験者の多くは現役大学生で、通勤に不便な区への入庁が決まれば近くに引っ越せばOKです。
一方、経験者採用受験者はそうもいきません。

経験者採用のボリュームゾーンは30代で、結婚していたり子どもがいたりすることも多いでしょう。
そうなると、入庁しても簡単に引っ越せないことが多いのです。

配偶者の仕事や子どもの転校、マイホームなど、様々な事情があり得るわけです。
だからこそ、経験者採用では「⑤通勤しやすい」が最も重視されるファクターになると考えられます。

対して、Ⅰ類はアクセス面よりも「①キラキラ度が高い」「②本庁舎が新しい」といった要素が重要視されるかもしれません。

人気度に各区の採用人数をかけ合わせて考えよう

人気区・不人気区の予想が終わったところで、もう1つ考えるべきことがあります。
それは「各区の採用人数」です。

なぜなら、人気度=競争率の高さとは限らないからですね。

極端な例ですが、人気区だったとしても200人採用してくれれば競争率はとても低くなります。
一方で不人気区でも採用枠がわずか3人なら、競争率は非常に高くなるでしょう。

そこで、ここまで見てきた「人気度」と各区の「採用予定人数」をかけ合わせて考えてみたいと思います。
※幸いなことに、各区の「採用予定人数」は公開されています!

【3つに類型化】「人気度×採用人数」マトリクスを公開!

「令和7年度Ⅰ類採用試験案内(春試験)」に記載されている各区の採用予定人数を参照し、「人気度×採用人数」のマトリクスを作成しました。

このマトリクスは、次の3つのエリアに分けて見ていきましょう。

  • 激戦区(比較的人気で採用人数は少ない)
  • 平穏区(比較的不人気で採用人数は多い)
  • 混戦区(激戦・平穏区に該当しない)

これらについて1つずつ説明していきます。

【①激戦区予測】比較的人気で採用人数は少ない6区

まずは、マトリクスの右下(赤色エリア)をご覧ください。

このエリアは比較的人気度が高く採用人数は少なめの区が集まっており、競争率の高い激戦区であると予想されます。

内訳は千代田区、渋谷区、豊島区、新宿区、文京区、港区の6区です。

【②平穏区予測】比較的不人気で採用人数は多い8区

次に、マトリクスの左上(青色エリア)をご覧ください。

このエリアは比較的人気度が低く採用人数は多めの区が集まっており、競争率の抑えられた平穏区であると予想できます。

内訳は葛飾区、大田区の2区です。

【③混戦区予測】激戦・平穏に該当しない9区

最後に、マトリクスの右上と左下(黄色エリア)をご覧ください。

残るほとんどの区は平均的な競争率の混戦区と予想されます。
人気度が高いが採用人数も多い区、もしくは人気度は低いが採用人数も少ない区が該当します。

内訳は世田谷区、足立区、品川区、練馬区、中野区、中央区、杉並区、台東区、目黒区、江戸川区、江東区、板橋区、墨田区、北区、荒川区の13区です。

ただし、江戸川区は他区と違い「専願制」である点に注意が必要です。
受験生はこの仕組みをよく理解した上で申込をする必要があります(詳しくは江戸川区HP参照)。

Ⅰ類採用の激戦区・平穏区・混戦区まとめ!

ここまでのマトリクスの内容をまとめると、特別区Ⅰ類採用における激戦区・平穏区・混戦区は下記のとおりです!

①激戦6区②平穏2区③混戦13区
千代田区葛飾区世田谷区
渋谷区大田区足立区
豊島区品川区
新宿区練馬区
文京区中野区
港区中央区
杉並区
台東区
目黒区
江戸川区
江東区
板橋区
墨田区
北区
荒川区
特別区Ⅰ類採用 激戦区・平穏区・混戦区まとめ

【経験者採用】Ⅰ類採用ほどハッキリした傾向はないが…

経験者採用1級職・2級職それぞれの「人気度×採用人数」マトリクスも作成してみました(各区の採用予定数は「令和7年度経験者採用試験・選考案内」を参照)。

1級職は下記のとおりです。

①激戦4区②平穏6区③混戦13区
豊島区葛飾区千代田区
足立区中央区渋谷区
新宿区大田区世田谷区
文京区中野区港区
練馬区板橋区
品川区江東区
杉並区
目黒区
江戸川区
台東区
墨田区
北区
荒川区
特別区経験者採用1級職 激戦区・平穏区・混戦区まとめ

2級職は下記のとおりです。

①激戦7区②平穏2区③混戦14区
千代田区練馬区世田谷区
渋谷区葛飾区品川区
足立区板橋区
新宿区中野区
豊島区大田区
港区台東区
文京区杉並区
江戸川区
中央区
江東区
目黒区
墨田区
北区
荒川区
特別区経験者採用2級職 激戦区・平穏区・混戦区まとめ

結果として2級職はⅠ類採用と似たような形になり、1級職は平穏区が多くなりました。

ただ縦軸(採用予定数)の目盛りを見ると分かるとおり、経験者採用はそもそも採用予定数が少ないです。

そのため、受験生の志望動向や区側の採用数増減が少しあるだけで、人気度や採用倍率は大きく変動する可能性は考慮しておく必要があるでしょう。

「人気度×採用人数」マトリクスから考える希望区の選び方とは?

さて、ここまで各区の人気度や競争率を独自に分析してきました。
ではこの結果を踏まえた上で、希望3区をどう選んでいけばよいでしょうか?

もしもあなたが、第2希望区や第3希望区を複数の区で迷っている場合には、本記事の考え方やマトリクスを基により受かりやすそうな区を書いておくのは1つの戦略と言えるかもしれません。

つまり志望度が全く同じなら、理論上は激戦区よりも混戦区、混戦区よりも平穏区の方が入庁できる確率は高まる可能性が高いです。

【第2・3希望区で迷ったら】
平穏区>混戦区>激戦区の順に選んでみる

ただし、ここで2つアドバイスがあります。

1つ目は、第1希望区については競争率を考えずに自分の希望する区を書くことです。

大きな理由としては、自分で選び抜いた経験は区面接のやりとりや入庁後のモチベーションに大きく寄与するためです。
第1希望になり得る区が複数ある人は、時間をかけてじっくり考えていきましょう。

2つ目は、たとえ第3希望区であっても「入庁したい」もしくは「入庁してもOK」という区を書くことです。

競争率ばかり考えて、結局自分が行きたいと思えない区に入庁してしまっては本末転倒です。
区面接の応答にも苦労するので、自分が本当に行きたいと思える3区を選びましょう。

入庁確率を極限まで高めるたった1つの戦略【人気区も不人気区も】

ここまで人気区・不人気区や各区の競争率を予測してきましたが、結局のところ上位合格をすればどの区の面接にも呼ばれるということは確かです。

それだけではありません。

過去の受験生情報によれば、同じ区の面接でも人事委員会面接の上位合格者と下位合格者とでは面接の質問や雰囲気が明らかに異なります。

上位合格者に対しては比較的好意的な質問や「入庁後どう成長していきたいか」といった前向きな質問が多い傾向にあります。
受験生にとって追い風が吹いているような、”受からせよう”とする雰囲気の面接ですね。

対して下位合格者に対しては、最後まで受験生の資質を吟味するような厳しめの質問や「他には?」といった深掘り質問が多い傾向にあります。

この場合、受験生にとっては向かい風の吹き荒れる、最後の一言まで気の抜けない面接となります。
しかも一度区面接で不合格となって他の区面接に回った場合、その傾向はさらに顕著になるという悪循環。

だからこそ、この記事をここまで読んでくれたあなたに伝えたいのは、絶対に入庁したいなら上位合格にこだわろうということです。

【入庁確率への影響度】
1つでも高い順位で合格すること>区ごとの人気度や競争率の違い

上位合格以上に入庁確率に影響する要素はないのです。
だからこそ、本記事を読んだあなたのネクストアクションは何と言っても、

「論文」そして「面接」攻略の鬼になること!

これに尽きます。

特別区の論文対策・面接対策については、下記の記事で徹底解説しているので、あわせてご覧ください。

おわりに

今回は、様々な統計資料をもとに「人気区」「不人気区」を予測・解説しました。
希望区選びに迷った際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの特別区合格を心よりお祈りしています!